親御さんのYouTube入門 ~動画の探し方、安全な見方と地域で聞ける場所~
はじめに
日々の生活の中で、YouTubeなどの動画配信サービスを目にしたり、耳にしたりする機会が増えていることと思います。高齢のご両親も、テレビや家族との会話を通じてYouTubeに興味を持つことがあるかもしれません。
「YouTubeってどんなもの?」「どうやって見たらいいの?」「一人で見ても大丈夫?」
そういった疑問や、実際に始めてみたものの操作に戸惑う、安全性が心配といったお悩みは、ご両親のITサポートをされているご家族、特に40代~50代の娘世代の皆様からよくお聞きします。
YouTubeは、趣味の動画を見たり、知りたいことを学んだり、音楽を楽しんだり、ニュースを見たりと、高齢の方にとっても生活を豊かにする様々な可能性を秘めています。しかし、同時にインターネット上のサービスであるため、使い方にはいくつかの注意点も存在します。
この記事では、高齢のご両親がYouTubeを安全に楽しく利用するための基本的な使い方や、ご家族がサポートする際のヒント、そしてもし分からないことや困ったことが起きた時に、地域でどのような支援を受けられるのかについてご紹介します。
YouTubeとは? 高齢者にとっての魅力
YouTubeは、世界中の様々な動画が公開されているインターネット上のサービスです。パソコンやスマートフォン、タブレットなどから、誰でも無料でたくさんの動画を視聴できます。
高齢のご両親にとって、YouTubeには以下のような魅力があります。
- 趣味や学びを深める: 園芸、料理、手芸などの趣味に関する動画や、歴史、健康、地域の情報など、興味のある分野の動画を見つけることができます。新しい知識を得たり、昔の趣味を思い出したりするきっかけになります。
- 音楽やエンターテイメントを楽しむ: 若い頃に流行した音楽や、伝統芸能、お笑いなど、様々なジャンルの動画が見られます。コンサート映像やライブ配信なども楽しめます。
- 情報収集: ニュースや天気予報、自治体からのお知らせなど、様々な情報源として活用できます。
- 離れて暮らす家族や友人とのつながり: 家族や友人がアップロードした動画を見たり、ビデオ通話機能(YouTube自体ではなく、他のアプリと組み合わせて)を使ったりすることもできます。
YouTubeの基本的な使い方:ここを押さえましょう
スマートフォンやタブレットでYouTubeを見る場合、多くは「YouTubeアプリ」を利用します。
- アプリを開く: スマートフォンやタブレットの画面にある、赤い四角に白い三角形のマークの「YouTube」というアプリをタップします。
- 動画を探す:
- 画面の上部にある虫眼鏡のマーク(検索アイコン)をタップします。
- 見たいものに関係する言葉(例:「演歌」「今日のニュース」「おいしい卵焼きの作り方」など)を入力します。文字入力が難しい場合は、マイクのマーク(音声入力アイコン)をタップして話しかけることでも検索できます。
- 入力または話しかけた言葉で検索結果が表示されます。
- 動画を再生する: 見たい動画のタイトルやサムネイル(動画の始まりの小さな画像)をタップします。動画が自動的に始まります。
- 操作方法:
- 動画の途中の画面を一度タップすると、再生・一時停止ボタン、音量バー、全画面表示ボタンなどが表示されます。
- 再生・一時停止ボタン(|| または ▶ のマーク)で動画を止めたり、再開したりできます。
- 音量バーで音の大きさを調節できます。
- 四角のマーク(□)をタップすると、画面いっぱいに動画が表示されます(全画面表示)。元に戻すには、もう一度タップするか、戻るボタン(←)を使います。
- 動画を少し飛ばしたい場合は、再生バー(動画の進み具合を示す線)上の丸い部分を指でドラッグするか、動画の右側をダブルタップすると早送り、左側をダブルタップすると巻き戻しができます。
- 関連動画を見る: 見ている動画が終わると、次におすすめの関連動画が画面に表示されます。興味があればタップして見ることができます。
これらの基本的な操作を覚えるだけで、多くの動画を楽しむことができます。
安全に利用するために:ご家族が知っておくべきこと・伝えるべきこと
YouTubeは無料で便利なサービスですが、利用にあたってはいくつかの注意が必要です。特に高齢のご両親が見る場合には、ご家族が見守り、安全に利用できるようサポートすることが大切です。
- 広告について: YouTubeの動画の始まりや途中に広告が表示されることがあります。多くの広告は数秒経つと「スキップ」できます。「スキップ」ボタンが表示されたらタップするように伝えましょう。中には詐欺や怪しい情報に誘導する悪質な広告も紛れている可能性があります。「簡単にお金が儲かる」「個人情報を入力して」といった広告は絶対にクリックしないように伝え、もし不安な広告が出たらすぐに家族に相談するように促しましょう。
- コメント欄への注意: 動画の下には、動画を見た人が感想などを書き込める「コメント欄」があります。コメント欄には、無責任な情報や、人を傷つけるような書き込みが含まれることもあります。コメント欄は見ない、自分で書き込まない、というルールを決めておくと安心です。
- 不適切な動画や情報: 中には、内容が過激であったり、間違った情報や偽のニュースを流す動画も存在します。見慣れないチャンネルや、根拠の不明な情報には注意が必要であることを伝えましょう。もし見ていて不快な動画や内容があったら、すぐに閉じて家族に相談するように伝えましょう。
- 個人情報の入力やお金の話: YouTubeの動画の中で、個人情報の入力を求めたり、お金を支払うように促したりすることはありません。そういった指示があった場合は詐欺の可能性が高いことを伝え、絶対に応じないように注意喚起しましょう。
- 視聴時間の管理: 面白い動画を見始めると、ついつい長時間見てしまうことがあります。目が疲れたり、他の活動がおろそかになったりしないよう、時間を決めて利用することも大切です。
- YouTube Kidsの検討: もし誤って不適切な動画を見てしまうのが特に心配な場合は、子供向けの動画のみが表示される「YouTube Kids」アプリの利用を検討することも一つの方法です。ただし、見たい動画が少ない場合や、操作感が異なることに戸惑う場合もありますので、ご両親の状況に合わせて判断してください。
これらの注意点について、一方的に禁止するのではなく、「こういうものもあるから気をつけようね」というように、優しく具体的に伝えることが大切です。
親御さんにYouTubeを教える時のコツ
ご家族がご両親にYouTubeの使い方を教える際は、以下の点を意識すると伝わりやすくなります。
- 一度にたくさん教えない: まずは「アプリを開く」「検索する」「動画を見る」という最低限の操作から始めましょう。一つずつ、ゆっくりと、繰り返し練習するのが効果的です。
- 実際に一緒に操作する: 説明を聞くだけではなく、ご両親自身が実際に指を動かして操作することが大切です。隣に座って、一緒に画面を見ながら「ここをタップするのよ」「次はこのボタンね」とガイドしてあげましょう。
- 具体的な言葉で伝える: 「ここ」「あれ」ではなく、「画面の上の虫眼鏡マーク」「再生ボタン」のように、具体的な言葉で指示します。
- メモや写真つきの説明書を作る: 教えた操作手順を、簡単な言葉とスマートフォンの画面写真でまとめた小さな説明書を作って渡すと、後で見返せて安心です。
- できたことを褒める: うまく操作できた時には、「すごいね!」「できたね!」と、結果だけでなく頑張った過程も褒めて励ましましょう。
- 根気強く、否定しない: 高齢になると新しいことを覚えるのに時間がかかることがあります。同じことを何度聞かれても、根気強く、分かりやすい言葉で繰り返しましょう。「なんで分からないの?」といった否定的な言葉は、自信をなくさせてしまうので避けましょう。
- 完璧を目指さない: 全ての機能を使いこなす必要はありません。ご両親が見たい動画を楽しめるようになる、という目標で十分です。
困った時に頼れる地域でのIT支援
ご家族がサポートしようと思っても、時間がない、どう教えていいか分からない、専門的なことは難しい、といった場合もあるでしょう。また、ご両親が家族以外の人から教わる方が気兼ねなく質問できる、という場合もあります。
YouTubeの個別の使い方そのものに特化した公的な支援は少ないかもしれませんが、スマートフォンやタブレットの基本的な使い方、アプリの開閉、文字入力、インターネットの使い方といった、YouTube利用の前提となる操作について教えてもらえる場所は地域に存在します。
- 自治体のIT相談窓口や講座: 市町村によっては、高齢者向けのスマートフォンの使い方相談会や、基礎的なIT講座を開催しています。広報誌やウェブサイトで情報を確認してみましょう。
- 地域包括支援センターや社会福祉協議会: これらの機関が高齢者向けの様々なサービス情報を把握している場合があります。ITに関する相談ができる窓口を紹介してもらえる可能性もあります。
- NPOや市民活動団体: 高齢者のIT支援を専門に行っているNPOや、地域のボランティア団体が存在します。「高齢者 IT支援 [お住まいの地域名]」などでインターネット検索してみるのも良い方法です。
- 携帯ショップ: スマートフォンの契約をしているキャリアのショップで、初心者向けの操作説明会を行っていることがあります。ただし、特定のアプリの使い方まで詳しく教えてもらえるかは、ショップや店員さんによります。
- 地域の公民館や図書館: 高齢者向けのIT講座や相談会が開催されることがあります。
これらの場所では、スマートフォンの基本的な操作から教えてもらえるため、YouTubeアプリの開き方や簡単な操作についても相談できる可能性があります。事前に電話などで「YouTubeを見たいのだが、基本的なスマホ操作について教えてもらえるか」など具体的に問い合わせてみるのが良いでしょう。
ご両親の近くで安心して相談できる場所を見つけておくことは、ご家族のサポートの負担を減らし、ご両親自身が自信を持ってITを利用するためにも大変有効です。
まとめ
YouTubeは、高齢のご両親にとって、日々の生活に彩りを加え、学びや楽しみを広げる素晴らしいツールとなり得ます。まずは簡単な操作から始め、少しずつ慣れていくことが大切です。
ご家族の温かいサポートは、ご両親が安心して新しいことに挑戦するための何よりの力となります。そして、もしサポートに難しさを感じたり、より専門的なアドバイスが必要になったりした時には、ぜひ地域のIT支援サービスや相談窓口の利用を検討してみてください。
ご家族と地域の力を合わせて、ご両親のデジタルライフがより豊かで楽しいものになるよう応援しています。