親御さんとオンラインでつながる ~ビデオ通話やLINEの活用とサポートのヒント~
離れて暮らす親御さんと、もっと「つながる」ために
遠く離れて暮らすご両親と、気軽にお話ししたり、顔を見ながら安心したいとお考えの40代、50代の皆さまへ。今はスマートフォンやインターネットがあれば、まるで隣にいるかのようにコミュニケーションを取ることが可能です。しかし、ITに不慣れな親御さんにとっては、その一歩を踏み出すのが難しく感じられるかもしれません。
「使い方が分からない」「間違えたらどうしよう」といった不安から、オンラインでの交流をためらっている親御さんもいらっしゃいます。また、サポートするご家族側も、「どうやって教えたら良いか分からない」「忙しくて付きっきりで教える時間がない」といったお悩みを抱えていることと思います。
この記事では、親御さんがオンラインでご家族やご友人とつながるための具体的な方法として、身近なツールである「LINE」や「ビデオ通話アプリ」の活用をご紹介します。さらに、ご家族がサポートする際のヒントや、どうしても難しい場合の地域での支援についてもお伝えします。
オンライン交流で使える主なツール
オンラインで顔を見ながら話すための代表的なツールをいくつかご紹介します。それぞれに特徴がありますので、親御さんの使い慣れている環境や目的に合わせて選ぶと良いでしょう。
1. LINE
多くの人が利用しているコミュニケーションアプリです。文字でのメッセージのやり取りだけでなく、無料で音声通話やビデオ通話ができます。
- メリット: 利用者が非常に多く、家族や友人がすでに使っている可能性が高いです。スタンプなど視覚的に分かりやすい機能もあります。シンプルな操作で音声通話やビデオ通話を開始できます。
- 高齢者がつまずきやすい点: アカウント作成、友だち追加、通知設定などが複雑に感じられることがあります。無料通話と有料通話(携帯電話への通常の電話)の違いが分かりにくい場合もあります。
2. ビデオ通話アプリ(Zoom, Google Meet, FaceTimeなど)
ZoomやGoogle Meetは会議などで使われることが多いですが、個人間の通話にも利用できます。iPhoneをお使いの場合はFaceTimeも便利です。
- メリット: 複数人で同時にビデオ通話しやすい設計になっているものが多いです。画面共有など、より高度な機能も利用できます(高齢者の利用ではあまり使わないかもしれませんが)。FaceTimeはApple製品同士であれば非常に簡単に使えます。
- 高齢者がつまずきやすい点: 事前のアプリインストールやアカウント登録、ミーティングへの参加方法などがLINEより複雑に感じられることがあります。リンクをタップして参加する形式の場合、その操作自体が難しいこともあります。
親御さんがオンライン交流を始める際につまずきやすいポイント
親御さんが実際にこれらのツールを使い始めるにあたり、どのような点で困りやすいかを知っておくと、サポートがスムーズに進みます。
- アプリのインストールと初期設定: アプリを探してインストールし、必要な許可を与える作業は、普段アプリを使わない方には難しいステップです。
- アカウント作成: メールアドレスやパスワードの入力、電話番号認証など、個人情報の入力に抵抗があったり、手順が分からなかったりします。
- 連絡先の追加: 電話帳との連携や、ID検索、QRコード読み取りなど、友だちを追加する方法が複数あり、混乱しがちです。
- 通話・ビデオ通話の開始と終了: 相手を選んで、通話ボタンを押し、通話が終わったら終了ボタンを押す、という一連の動作が覚えられないことがあります。
- 通話中の操作: 自分の声が聞こえない(ミュートになっている)、相手の声が聞こえない(音量が小さい)、自分の顔が映らない(カメラがオフになっている)など、基本的な操作への対応が難しい場合があります。
- 通知: メッセージや着信があった際に、画面にどう表示されるか、どう操作すれば応答できるかが分からないことがあります。
ご家族ができるサポートのヒント
親御さんのオンライン交流をサポートする際に、ぜひ試していただきたい方法です。
- 目標を具体的に設定する: 「毎日〇〇さん(お孫さんなど)の顔を見る」「週に一度、家族みんなで話す」など、具体的な目標があると、親御さんもモチベーションを保ちやすくなります。
- 操作方法を「見える化」する: スマートフォンの画面写真付きで、操作手順をまとめた簡単なマニュアルを作成すると、親御さんが一人で見返せて安心です。「〇〇のときは、このボタンを押す」のように、手順を絞って分かりやすく記述します。
- 一緒に操作練習をする: 実際に隣に座って、一緒に操作してみましょう。電話をかける練習、ビデオ通話をつなぐ練習を繰り返し行うことが大切です。最初はお孫さんなど、親御さんが会いたい相手とつながる練習から始めると良いでしょう。
- 焦らず、根気強く: 一度で覚えられなくても当然です。イライラせず、「もう一度やってみようね」と励ましながら、小さな成功体験を積み重ねられるようにサポートします。
- 「なぜそうなるのか」より「どうすればいいか」を伝える: ITに不慣れな方にとって、仕組みを理解するのは難しい場合が多いです。「このボタンを押すと、おばあちゃんの顔が見られるよ」「声が聞こえないときは、ここを触ってみようか」のように、具体的な操作と結果を結びつけて教える方が理解が進みやすいです。
- 困った時の対処法を共有する: アプリが固まった、声が聞こえなくなったなど、よくあるトラブル時の簡単な対処法(例:一度アプリを閉じてみる、電源を入れ直してみる)を伝えておくと、少しのトラブルで諦めてしまうことを防げます。
どうしても難しい場合は、地域のIT支援を活用する
ご家族だけでのサポートが難しい場合や、もっと体系的に学びたいという場合は、地域のIT支援や相談窓口を活用することも有効な選択肢です。
- スマホ教室でオンライン講座を探す: 地域の公民館やIT教室などで開催されている講座の中には、LINEやビデオ通話の使い方に特化したものがあるかもしれません。他の受講者と一緒に学ぶことで、励みになる場合もあります。「地域で見つける高齢者向けスマホ教室」の記事なども参考に、お近くの教室を探してみるのも良いでしょう。
- 地域のITボランティアや相談窓口に相談する: 自治体や社会福祉協議会などが、高齢者向けのITサポート事業を行っている場合があります。専門のボランティアの方が、自宅に来て個別指導をしてくれたり、操作方法について相談に乗ってくれたりします。設定だけを依頼することも可能です。「親御さんのITサポート、どこに相談?」の記事も参照し、利用できる窓口がないか調べてみましょう。
これらの外部サービスを利用することで、ご家族の負担を軽減しつつ、親御さんが安心してITを活用できるようになる可能性があります。
まとめ
親御さんとオンラインでつながることは、離れていてもお互いの安心につながり、日々の生活に彩りを与えてくれる素晴らしい手段です。LINEやビデオ通話といったツールは、適切に設定し、操作方法を覚えれば、高齢者でも十分に使いこなすことが可能です。
ご家族による根気強いサポートはもちろん大切ですが、すべてを一人で抱え込む必要はありません。この記事でご紹介したヒントや、地域のIT支援、相談窓口なども上手に活用しながら、親御さんのデジタルライフをサポートしていただければ幸いです。親御さんがITを通じて、より豊かなコミュニケーションを楽しめるようになることを願っています。