親御さんのためのカレンダー・スケジュール管理アプリ活用 ~設定方法から地域で相談できる場所まで~
はじめに:うっかり忘れを防ぐデジタルカレンダー
「そういえば今日だった!」「予約したのに忘れてしまった」
親御さんのこうした「うっかり忘れ」に、ご家族がヒヤリとしたり、代わりに予定を管理したりすることに負担を感じたりすることもあるかもしれません。紙の手帳やカレンダーも便利ですが、予定の書き間違いや、確認し忘れてしまうこともあります。
スマートフォンのカレンダーアプリは、こうした「うっかり忘れ」を防ぎ、日々の予定管理を助ける便利なツールです。一度設定すれば、指定した日時に知らせてくれる「通知機能」があるため、予定を思い出す手助けになります。また、予定の変更や繰り返し設定も容易に行えます。
この記事では、親御さんがカレンダーアプリを安心してお使いいただけるよう、そのメリット、基本的な使い方、教え方のコツ、そして困った時に頼れる地域やオンラインの相談窓口についてご紹介します。
なぜカレンダーアプリが高齢者に役立つのか
カレンダーアプリを活用することで、親御さんの日常生活はよりスムーズで安心なものになります。主なメリットをいくつかご紹介します。
- 通知機能で忘れを防ぐ: 病院の予約、薬を飲む時間、ゴミ出しの日など、忘れてはいけない大切な予定を事前に知らせてくれます。アラームのように音で知らせることも可能です。
- 予定の変更が簡単: 予定が変更になった場合も、簡単に修正できます。紙のように消しゴムで消したり、修正液を使ったりする必要がありません。
- 家族との情報共有: アプリによっては、ご家族間で同じカレンダーを共有できます。離れて暮らす親御さんの予定をご家族が把握し、声かけやサポートをしやすくなります。
- 繰り返し予定の設定: 毎週決まった曜日にある習い事や、毎月の通院など、繰り返しの予定も一度設定すれば自動で登録されます。
- 持ち運びの便利さ: いつも持ち歩くスマートフォンで予定を確認できるため、外出先で次の予約を入れる際などにもすぐに確認できます。
どのカレンダーアプリを使えば良い?
特別なアプリをインストールする必要はありません。親御さんがお使いのスマートフォンに最初から入っているカレンダーアプリが、最もシンプルでおすすめです。
- iPhoneの場合: 「カレンダー」という名前のアプリが入っています。
- Androidスマートフォンの場合: 「Googleカレンダー」や、端末独自のカレンダーアプリが入っていることが多いです。
これらの標準アプリは、操作方法が比較的簡単で、他のサービス(メールや地図など)との連携もスムーズな場合があります。まずは、今お使いのスマホにどんなカレンダーアプリが入っているか確認してみてください。
カレンダーアプリの基本的な設定方法と使い方
標準のカレンダーアプリを例に、基本的な使い方をご紹介します。操作画面は機種によって多少異なりますが、考え方は共通です。
1. アプリを開く
スマートフォンのホーム画面にあるカレンダーのアイコンをタップします。アイコンには日付が表示されていることが多いです。
2. 予定を追加する
- 画面の中にある「+」ボタンや「予定を追加」といったボタンを探してタップします。
- 「タイトル」の欄に、何の予定かを入力します(例:「病院の予約」「〇〇さんとランチ」など)。
- 「日時」を設定します。開始時間と終了時間、または終日(一日中)の予定かを指定します。日付や時間をタップして選択します。
- 「場所」や「詳細」(持ち物など)も必要に応じて入力します。
- 忘れずに知らせてもらうための「通知」を設定します。予定の何分前、何時間前、何日前に知らせるかを選べます。複数の通知を設定することも可能です。
- 繰り返しのある予定の場合は、「繰り返し」の設定をします(例:毎日、毎週〇曜日、毎月〇日など)。
- 入力が終わったら、「保存」ボタンや「完了」ボタンをタップします。
3. 予定を確認する
アプリを開くと、今日や今週、今月の予定が表示されます。表示形式を切り替えることもできます(日表示、週表示、月表示など)。確認したい日付をタップすると、その日の詳しい予定を見ることができます。
4. 予定を修正・削除する
登録した予定をタップすると、詳細画面が開きます。編集したい場合は「編集」ボタン、削除したい場合は「削除」ボタンをタップして操作します。
親御さんにカレンダーアプリを教える時のコツ
カレンダーアプリの操作自体はそれほど難しくありませんが、親御さんが慣れるまでには時間が必要な場合があります。教える際に意識したいポイントです。
- 使う目的を明確にする: 「これを使うと、お医者さんの予約を忘れなくなるよ」「次に会う約束をここに入れようね」など、具体的なメリットや使う場面を示しながら説明すると、意欲や理解に繋がりやすくなります。
- 一度に欲張らない: 最初は「予定を見る」「予定を一つ入れる」といった簡単な操作から始めましょう。通知設定や繰り返しの設定は、慣れてきたら少しずつ覚えるので十分です。
- 一緒に操作する: ご家族が代わりに操作するのではなく、親御さん自身に画面をタップしてもらいながら教えましょう。指差しや声かけでサポートします。
- ゆっくり、分かりやすい言葉で: 専門用語は避け、「ボタンを押す」「指でなぞる(スワイプ)」など、具体的な動きを示す言葉を使います。
- 間違えても大丈夫と伝える: 最初は入力ミスをしたり、違う画面に進んでしまったりすることもあるかもしれません。失敗を恐れずに操作できるよう、「大丈夫、元に戻せるから」と安心感を与えましょう。
- 見やすい設定にする: 画面の文字サイズを大きくしたり、明るさを調整したりすることで、操作しやすくなります。
つまずきやすいポイントと解決策
親御さんがカレンダーアプリを使う上でつまずきやすい点とその対策です。
- 文字入力が難しい: スマートフォンでの文字入力に慣れていない場合、予定のタイトルを入力するのに時間がかかることがあります。音声入力機能を活用したり、最初はご家族が代わりに入力したりするのも一つの方法です。
- 通知が来ない、または気づかない: 通知設定がオフになっているか、スマートフォンの通知音量が小さすぎる可能性があります。設定画面でカレンダーアプリの通知がオンになっているか、音量設定を確認しましょう。バイブレーション設定も有効にするのがおすすめです。
- アプリがどこにあるか分からない、閉じ方が分からない: アプリのアイコンをホーム画面の分かりやすい場所に置いたり、よく使うアプリをまとめてフォルダに入れたりします。アプリの「閉じ方」(ホームボタンを押す、画面の下からスワイプするなど)を繰り返し練習します。
- 複数のカレンダーが表示されて見にくい: スマートフォンによっては、初期設定で複数のカレンダー(例:Googleカレンダー、iCloudカレンダー、祝日カレンダーなど)が同時に表示されることがあります。アプリの設定で、必要なカレンダーだけを表示するように整理すると見やすくなります。
困った時に頼れる地域やオンラインの相談先
ご家族でのサポートが難しい場合や、もっと詳しく教えてもらいたい場合は、地域のIT支援サービスや相談窓口の利用を検討してみましょう。
- 地域のIT支援センターやNPO: 高齢者向けのIT講習や個別相談を実施している場合があります。カレンダーアプリの使い方についても、丁寧に教えてもらえる可能性があります。お住まいの市区町村の社会福祉協議会や広報誌などで情報が得られることがあります。
- 地域のスマホ教室: スマートフォンの基本的な使い方から、特定のアプリの活用法まで教えてくれる教室があります。カレンダーアプリをテーマにした講座がないか探してみるのも良い方法です。
- 携帯ショップ: 契約している携帯会社のショップでも、スマートフォンの基本的な操作方法について相談できる場合があります。アプリの詳しい使い方までは難しい場合もありますが、起動方法や文字入力など、操作の基礎を確認できます。
- オンライン相談サービス: 民間企業や一部のNPOが、オンラインでのIT相談サービスを提供しています。自宅にいながらサポートを受けられるメリットがあります。
- 自治体の高齢者向けIT支援: 一部の自治体では、高齢者を対象にした無料または低額のIT相談窓口や講習会を設けています。広報誌やホームページで情報を確認してみてください。
これらの支援先では、ご家族が付き添って一緒に説明を聞くことも可能な場合があります。親御さんにとって、家族以外の人から教えてもらう方がすんなり理解できる、ということもあります。
おわりに
カレンダーアプリは、日々の予定管理を助け、親御さんが安心して生活するための心強い味方となります。使い始めるまでには少し練習が必要かもしれませんが、使いこなせるようになれば、うっかり忘れの不安が減り、行動範囲も広がる可能性があります。
ご家族だけで抱え込まず、地域のIT支援サービスなども上手に活用しながら、親御さんのデジタルライフをサポートしていきましょう。この情報が、皆さまのお役に立てれば幸いです。