親御さんと始める安心・安全インターネット検索 ~基本的な使い方と地域で学べる場所と注意点~
親御さんの「調べたい」を安全にサポートするために
インターネットは、知りたい情報をすぐに手に入れられる便利な道具です。最近では、高齢の親御さんもスマートフォンやタブレットを使いこなし、「〇〇について調べたいんだけど」と質問される機会が増えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。親御さんが新しい世界に触れることは喜ばしいことですが、同時にインターネット上には様々な情報があり、中には誤った情報や危険な誘い、詐欺につながる入り口が潜んでいることも事実です。
ご家族としては、親御さんの知的好奇心を応援したい一方で、そうした危険から守りたいというお気持ちがあるかと存じます。また、具体的に「どう教えれば安全に使ってもらえるのだろう」「何かトラブルがあったらどうしよう」と不安を感じることもあるかもしれません。この記事では、親御さんが安心・安全にインターネット検索を始めるための基本的なポイントと、ご家族だけで抱え込まずに利用できる地域のサポートについてご紹介します。
高齢者がインターネット検索でつまずきやすい点
高齢の方がインターネット検索を始める際に、どのような点で難しさを感じるか、事前に理解しておくことが大切です。
- 操作の難しさ: スマートフォンやタブレットの小さな画面での文字入力や、意図しない広告をタップしてしまうなどの操作ミス。
- 情報の取捨選択: 検索結果に大量の情報が表示されるため、どれが信頼できる情報か判断が難しい。
- 広告や偽サイト: 本物の情報サイトに見せかけた広告や詐欺サイトを見分けるのが困難。
- 専門用語: インターネットやウェブサイトに関する用語が理解しにくい。
こうした点を踏まえ、教える側も根気強く、分かりやすい言葉を選ぶ必要があります。
親御さんに安全なインターネット検索を教える基本的なステップ
まずは、検索の基本的な流れと、安全に使うための土台作りから始めましょう。
- 検索エンジンに慣れる: GoogleやYahoo!などの代表的な検索エンジンの画面を開く練習から始めます。「虫眼鏡のマーク」や「検索」と書かれた場所(検索バー)に文字を入力することを教えます。
- 言葉(キーワード)の選び方: 知りたいことに関連する言葉をいくつか入力することを教えます。例えば、「りんご 育て方」のように、具体的に言葉を組み合わせると、より欲しい情報が見つかりやすいことを伝えます。最初は簡単な言葉で試してもらいましょう。
- 検索結果の見方: 検索結果の画面には、たくさんの情報が表示されます。タイトルや短い説明文を見て、自分の知りたい情報がありそうか判断する方法を教えます。
- ウェブサイトの開き方: 検索結果の中から興味のあるものを選んでタップ(クリック)して、ウェブサイトを見る方法を教えます。
教える際は、一度に多くのことを詰め込まず、一つずつゆっくり進めることが大切です。親御さんが「できた」という成功体験を積み重ねられるようにサポートしてください。
特に注意したい「危ない」を見分けるポイント
安全に検索するためには、いくつかの注意点を知っておく必要があります。
- 「広告」表示の見分け: 検索結果の上部や途中に、「広告」と小さく書かれた表示があることがあります。これらは情報サイトではなく、商品を宣伝する目的のものです。必ずしも危険とは限りませんが、情報収集が目的の場合は区別することを教えます。
- 怪しいウェブサイトに注意:
- 見た目が不自然: 日本語がおかしかったり、画像の解像度が低かったりする場合があります。
- 個人情報を求められる: 見ているだけで、突然名前や電話番号、クレジットカード情報を入力するよう求められるサイトは危険な可能性が高いです。
- 警告が表示される: 「あなたのパソコンはウイルスに感染しています」といった偽の警告表示が出て、特定のソフトウェア購入やサポートへの電話を促すものは詐欺です。画面を閉じることが難しい場合は、電源を切るなどの対処法を教えておきます。
- 安易な個人情報の入力は避ける: 基本的に、何かを検索して見るだけの目的で、名前や住所などの個人情報を入力する必要はありません。入力を求められた場合は、一度立ち止まり、本当に必要なのか、信頼できるサイトなのかを確認する習慣をつけることが重要です。
これらの注意点を全て一度に覚えるのは難しいかもしれません。繰り返し伝えたり、もし不審な画面が表示されたらすぐに家族に相談するようお願いしておいたりすることが大切です。
家族だけで抱え込まずに、地域で頼れる場所を活用する
親御さんにインターネット検索の全てを教えるのは、時間も労力もかかり、ご家族にとって負担になることもあります。また、専門的な注意点や最新の詐欺事例などは、専門家から学ぶ方が分かりやすい場合もあります。そんな時は、ぜひ地域の支援サービスを頼ってください。
- 地域のIT教室・スマホ教室: 高齢者向けのスマホ教室やパソコン教室では、インターネットの使い方や安全な利用方法を教えてくれる講座が多く開催されています。「インターネット検索」や「情報の調べ方」といったテーマの講座を探してみましょう。自治体や社会福祉協議会、NPOなどが運営する教室は、費用が比較的安価な場合や無料の場合もあり、安心して利用できることが多いです。
- IT関連の相談窓口: スマートフォンやパソコンの操作全般に関する相談を受け付けている窓口もあります。
- 地域包括支援センター: 高齢者に関する様々な相談を受け付けており、ITに関する相談に乗ってくれたり、適切な相談先につないでくれたりすることがあります。
- 消費生活センター: インターネット上でのトラブル(詐欺や架空請求など)に関する相談に乗ってくれます。不審なサイトを見て不安になった場合などに相談できます。
- 地域のITボランティア: 特定の地域で、高齢者向けのITサポートをボランティアで行っている団体や個人がいる場合があります。自治体の広報誌や社会福祉協議会などで情報を得られることがあります。
これらの情報を得るには、お住まいの市区町村のウェブサイトで「高齢者 IT支援」「スマホ教室」といったキーワードで検索したり、地域の役所や社会福祉協議会の窓口に直接問い合わせてみたりするのが良いでしょう。
まとめ
親御さんがインターネット検索を通じて新しい知識を得たり、趣味や生活に役立つ情報を見つけたりすることは、日々の暮らしを豊かにすることにつながります。しかし、そのためには安全に使うための知識が不可欠です。ご家族が基本的な使い方や注意点を伝えるとともに、全てを一人で抱え込まず、地域のIT支援サービスや相談窓口を上手に活用することが大切です。地域の力を借りながら、親御さんの安心・安全なデジタルライフをサポートしていきましょう。