親御さんのスマホ・タブレットの「音」の困りごと解決 ~聞こえやすくする設定と地域で相談できる場所~
親御さんのデジタル機器、「音」の困りごと、解決のヒント
スマートフォンやタブレットは、私たちの生活を便利にするツールですが、高齢の親御さんにとっては「音」に関する操作や設定が思わぬつまずきの原因となることがあります。例えば、「電話の着信音が聞こえない」「動画の音声が小さすぎる」「急に大きな警告音が鳴ってびっくりした」など、音に関する困りごとは多岐にわたります。
私たち40代、50代の世代が親御さんのデジタルサポートをする中で、これらの音に関する質問やトラブルにどう対応すれば良いか悩むこともあるかもしれません。音が適切に聞こえないことは、コミュニケーションの支障になるだけでなく、災害情報や緊急速報を聞き逃す可能性にも繋がりかねません。
この記事では、高齢の親御さんのデジタル機器でよくある音の困りごととその解決策、ご家族がサポートする際の教え方のヒント、そして地域で頼れる相談先についてご紹介します。
高齢の親御さんによくある「音」の困りごと
高齢者のデジタル機器利用において、音に関する困りごとは様々です。代表的なものをいくつか挙げてみましょう。
- 着信音や通知音が聞こえにくい、または大きすぎる: 電話がかかってきても着信音が聞こえなかったり、逆に通知音が急に鳴って驚いたりすることがあります。聞こえ方は人によって異なるため、適切な音量や音色の調整が必要です。
- 動画や音楽の再生音が小さい、または操作音が気になる: YouTubeなどの動画や、インターネットラジオなどの音声コンテンツを視聴する際に、音が小さくて聞き取りにくいことがあります。また、キーボードのタイプ音や画面タップ時の操作音が気になるという方もいらっしゃいます。
- マナーモードやサイレントモードが意図せず設定されている: 操作を誤ってマナーモードやサイレントモードにしてしまい、電話や通知の音が鳴らなくなることがあります。これらのモードの意味や切り替え方が分からない場合、音が鳴らない原因が分からず困惑してしまいます。
- 特定のアプリだけ音が変、または音が出ない: アプリごとの音量設定や、アプリ内でのミュート設定などが原因で、一部のアプリだけ音が正常に再生されないことがあります。
- 突然の警告音や通知音に驚く: セキュリティ警告やアプリからの通知音などが予期せず鳴り、どう対応すれば良いか分からず慌ててしまうことがあります。
これらの困りごとは、機器の設定方法を知らないことや、複雑な設定メニューを操作することへの抵抗感から生じることが多いです。
家族がサポートする際の教え方のヒント
親御さんの音に関する困りごとに対し、ご家族がサポートする際に役立つ教え方のヒントをいくつかご紹介します。
- 基本的な音量調整の方法を一緒に確認する:
- 機器側面の物理的な音量ボタンの操作方法を一緒に練習します。どちらを押すと大きくなり、どちらが小さくなるのか、実際に音を鳴らしながら確認してもらいましょう。
- 設定メニューから全体の音量を調整する方法も示します。着信音、メディア音量、アラーム音量など、音の種類ごとに調整できることを伝えます。
- 聞こえやすい設定を試す:
- 着信音や通知音は、聞き取りやすい、少し長めのメロディなどを一緒に選んで設定すると良いでしょう。
- スマートフォンの設定には、「ユーザー補助」や「アクセシビリティ」といった項目の中に、聞こえやすさをサポートする機能(モノラル音声、音のバランス調整、字幕表示など)が含まれている場合があります。これらの機能も、親御さんの聞こえ方に合わせて試してみる価値があります。
- マナーモード/サイレントモードについて説明する:
- これらのモードは「音を一時的に消す/小さくする機能」であることを分かりやすく説明します。
- モードの切り替え方法(ボタンの長押し、コントロールセンターやクイック設定パネルの操作など)を実際に操作してもらいながら練習します。「音が鳴らない時は、このマーク(マナーモードのアイコンなど)が出ていないか確認してみてね」など、視覚的なサインと結びつけて教えると覚えやすくなります。
- 繰り返し、少しずつ教える:
- 一度に全てを覚えようとするのは難しい場合が多いです。音量調整や簡単な設定変更など、できることから少しずつ、繰り返し練習します。
- 実際に親御さんが使っている場面で、「電話がかかってきたら、このボタンで音を調節できるよ」など、具体的な状況に合わせて声をかけると理解が進みやすいでしょう。
- 専門用語を避け、具体的な言葉を使う:
- 「マナーモード」「サイレントモード」「メディア音量」といった専門用語は、最初は避け、「音が鳴らないようにする機能」「動画を見るときや音楽を聴くときの音」のように分かりやすい言葉に置き換えて説明します。
- 「困ったら聞いてね」という安心感を与える:
- 一人で解決しようとして誤った操作をしないよう、「音が変だな」「操作方法が分からなくなった」といった場合は、いつでも頼って良いことを伝えておきます。
地域で相談できる場所を活用する
ご家族でのサポートには限界がある場合や、より専門的なアドバイスが必要な場合もあります。そんな時は、地域のIT支援サービスや相談窓口を活用するのが有効です。
地域には、高齢者のデジタル機器利用をサポートするための様々な取り組みがあります。
- 自治体のIT相談会やスマホ教室: 多くの自治体では、高齢者向けのIT相談会やスマホ教室を定期的に開催しています。こうした場では、専門の相談員やボランティアが高齢者のペースに合わせて丁寧に教えてくれます。音に関する設定方法なども個別に相談できる場合があります。広報誌や自治体のウェブサイトで情報が得られます。
- 地域のNPOやボランティア団体: 高齢者やIT弱者を支援するNPOやボランティア団体が、地域の公民館などで相談会や勉強会を実施していることがあります。住民同士の助け合いの場として、気軽に質問できる雰囲気があります。
- 商業施設のスマホ教室: 大手家電量販店や携帯電話会社の店舗によっては、高齢者向けのスマホ教室や相談コーナーを設けています。ご自身の機種に合わせた具体的なアドバイスを受けやすいのがメリットです。
- 地域包括支援センター: 高齢者の生活全般に関する相談を受け付けている地域包括支援センターでも、ITに関する悩みについて情報提供や適切な窓口の紹介をしてくれる場合があります。
これらの場所では、単に設定をしてもらうだけでなく、ご自身で操作できるようになるための練習や、基本的な使い方に関する質問もできます。ご家族が同伴して相談することも可能です。
地域で支援を探す際は、自治体のウェブサイトで「高齢者 IT 支援」「スマホ教室 (お住まいの地域名)」といったキーワードで検索したり、役所の高齢福祉課や地域の社会福祉協議会に問い合わせてみるのが良いでしょう。
まとめ
親御さんのスマホやタブレットの「音」に関する困りごとは、デジタル機器の利用をより快適で安全なものにするために見過ごせない問題です。ご家族が基本的な設定方法を教えたり、一緒に操作を練習したりすることで、解決できることも多くあります。
もし解決が難しい場合や、教えることに負担を感じる場合は、地域のIT支援サービスや相談窓口を積極的に活用してみてください。専門家や経験豊かなボランティアのサポートを得ることで、親御さん自身が安心してデジタル機器を使いこなせるようになるだけでなく、ご家族のサポート負担も軽減されるはずです。
この記事が、親御さんの「音」の困りごと解決の一助となり、より快適なデジタルライフを送るためのヒントとなれば幸いです。