親御さんのIT支援、地域ボランティアの力を借りる ~探し方・活用のヒントと相談先~
親御さんのITサポート、ひとりで抱え込んでいませんか?
高齢のご両親がスマートフォンやパソコンを使う際に、「どうすればいいの?」「これで合っている?」といった質問やトラブル対応を頼まれる機会が増えている方も多いかと存じます。ご家族としてサポートしたい気持ちは山々ですが、ご自身の時間も限られている中で、すべてに対応するのは負担に感じることもあるのではないでしょうか。
また、教え方が難しかったり、繰り返し説明してもなかなか操作を覚えられなかったりと、サポートの難しさに直面することもあるかもしれません。
このようなとき、地域には高齢者のIT利用をサポートするさまざまな仕組みやサービスが存在します。その一つとして、「ITボランティア」の存在をご存知でしょうか。今回は、地域で活動するITボランティアに焦点を当て、その活用方法や探し方についてご紹介いたします。
ITボランティアとはどのような人たち?
ITボランティアとは、ITに関する知識やスキルを持ち、地域貢献の一環として高齢者などのIT利用を無償または低額でサポートする方々のことです。現役世代のIT技術者や、定年退職後に培った知識を活かしたいという方など、様々な方が活動されています。
彼らは専門家というよりは、地域住民同士の助け合いの精神に基づき、身近な相談相手として活動している場合が多く見られます。営利目的ではないため、安心して気軽に相談しやすいという特長があります。
ITボランティアに依頼できること
ITボランティアに依頼できる内容は、個々のボランティア団体や個人のスキル、活動方針によって異なりますが、一般的には以下のようなサポートが考えられます。
- スマートフォンの基本的な使い方: 電話のかけ方・受け方、メール、LINEの操作、写真の撮り方など、基本的な操作方法の説明や練習相手。
- パソコンの基本的な使い方: 電源の入れ方・切り方、文字入力、インターネットの閲覧方法など。
- 特定のアプリやサービスの使い方: 地図アプリ、乗換案内アプリ、健康管理アプリなど、高齢者の方が使いたい特定のアプリの操作説明。
- オンラインサービスの利用支援: 行政手続きのオンライン申請サポート、マイナポータルの利用支援、オンラインショッピングや予約サイトの利用方法説明。
- 簡単なトラブル対応: 「画面がおかしくなった」「インターネットに繋がらない気がする」といった、すぐに解決できそうな身近な問題への助言や簡単な操作。
- IT機器やサービスの紹介: 親御さんのニーズに合ったスマートフォンやサービスの選び方に関する一般的な情報提供やアドバイス。
ただし、Wi-Fiなどネットワークの複雑な設定や、パソコン内部の修理、ウイルス感染などの専門的な対応が必要なケースは、ボランティアの対応範囲外となることがほとんどです。あくまで、日常生活で困る身近なITの疑問や操作方法のサポートが中心となります。
地域でITボランティアを探す方法
ITボランティアは、公的な機関や地域の団体を通じて活動していることが多いです。情報を探す際には、以下の窓口に問い合わせてみることをお勧めします。
- 地域の社会福祉協議会: 高齢者向けのさまざまな支援サービスの情報が集まっています。ITに関するボランティアを紹介してくれる場合があります。
- 市区町村の高齢者福祉課や地域包括支援センター: 高齢者向けの相談窓口として、地域で行われているIT支援に関する情報を持っていることがあります。
- 市区町村の情報推進課や広報担当部署: 地域における情報化推進の一環として、住民向けのIT講座やボランティア派遣に関する情報を提供していることがあります。
- 地域のNPOや市民活動支援センター: IT分野に限らず、様々な地域活動を行う団体を支援しています。ITボランティア団体が登録している可能性があります。
- 図書館や公民館: 高齢者向けのIT講座を開催している場所では、講師として活動しているボランティアと繋がれる可能性があります。
- インターネット検索: 「[お住まいの市区町村名] ITボランティア 高齢者」「[お住まいの市区町村名] スマホ サポート ボランティア」などのキーワードで検索してみるのも有効です。自治体や社会福祉協議会のウェブサイトに情報が掲載されていることがあります。
まずは、お住まいの地域の役所や社会福祉協議会のウェブサイトを確認したり、直接電話で問い合わせたりすることから始めてみてはいかがでしょうか。
ITボランティアに依頼する際の注意点
ITボランティアの活用を検討する際には、以下の点に注意するとよりスムーズです。
- 費用について: 原則として無償の活動ですが、交通費などの実費負担が必要な場合や、謝礼の規定がある場合もあります。事前に確認しておきましょう。
- 対応範囲の確認: 依頼したい具体的な内容を伝え、ボランティアの対応範囲であるかを確認します。専門的な内容や長時間の拘束は難しい場合が多いです。
- 事前の準備: 親御さんが具体的に何に困っているのか、何をできるようになりたいのかを整理しておくと、ボランティアもサポートしやすくなります。質問したいことをメモしておくのも良いでしょう。
- 個人情報の取り扱い: サポートの性質上、スマートフォンやパソコンの画面を見せたり、簡単な設定を依頼したりすることがありますが、パスワードなどの重要な情報を安易に教える必要はありません。信頼できる窓口を通じて依頼した場合でも、個人情報の取り扱いには十分注意するよう、親御さんにも伝えておくことが大切です。
- 相性: ボランティアも人によって教え方や考え方が異なります。一度で希望に沿わなくても、別のボランティアや他の支援方法を検討することも可能です。
ITボランティア以外の地域支援との組み合わせ
ITボランティアは、親御さんの個別の困りごとに寄り添ったマンツーマンに近いサポートが期待できる点が魅力です。一方で、体系的にじっくり学びたい場合は地域のスマホ教室やIT講座、特定のサービスの利用方法を知りたい場合は行政や事業者の相談窓口など、他の地域支援の方が適している場合もあります。
ITボランティアと他の支援を組み合わせて活用することで、親御さんのITに関する様々なニーズに対応できる可能性が広がります。一人でサポートを抱え込まず、利用できる地域資源を積極的に活用することを検討してみてください。
まとめ
ご両親のITサポートは、ご家族にとって時に大きな負担となることがあります。しかし、地域にはITボランティアをはじめ、高齢者のデジタルライフを支えるための様々な支援の仕組みが存在します。
これらの支援を上手に活用することで、ご家族の負担を軽減しつつ、親御さんが安心してITを活用できるようになる可能性があります。まずは、お住まいの地域の社会福祉協議会や自治体窓口に問い合わせてみてはいかがでしょうか。地域の力を借りながら、親御さんのデジタルライフを一緒にサポートしていきましょう。