親御さんと始めるネットバンキング ~安全な利用方法と地域で相談できる場所~
親御さんのネットバンキング、サポートする家族の不安と地域で頼れる場所
親御さんのデジタルライフをサポートされている皆様、日々の対応お疲れ様です。 最近では、銀行の窓口に行くのが大変だったり、ATMの利用時間が限られていたりすることから、インターネットを使った「ネットバンキング」に興味を持つ高齢の方も増えています。自宅にいながら残高を確認したり、振り込みができたりと、便利な点もたくさんあります。
しかし、ネットバンキングは便利である反面、操作の難しさやセキュリティの不安、詐欺のリスクなど、高齢の親御さんが使うとなると心配な点も多く、サポートするご家族も躊躇されることがあるかもしれません。どのように教えれば理解してもらえるのか、もしトラブルがあったらどうすれば良いのかなど、様々な疑問や不安を抱えることもあるかと存じます。
この記事では、親御さんがネットバンキングを安全に利用するためのポイントや、ご家族がサポートする際のヒント、そして困った時に地域で相談できる場所についてご紹介します。ご家族だけで抱え込まず、外部の力も借りながら、親御さんのデジタルライフを安全に支えていくための一助となれば幸いです。
ネットバンキングのメリット・デメリット(高齢者向けの視点から)
親御さんがネットバンキングを利用するメリットと、知っておくべきデメリットを整理します。
メリット
- 場所や時間を選ばずに取引できる: 銀行の窓口やATMに行かなくても、自宅などからスマートフォンやパソコンを使って取引ができます。銀行の営業時間外でも利用できるサービスが多いです。
- 手数料がお得になる場合がある: 窓口やATMでの取引に比べて、ネットバンキングを利用すると振り込み手数料などが安くなる場合があります。
- 取引履歴を確認しやすい: いつ、いくら使ったかなどがオンラインで簡単に確認できます。
デメリット
- 操作が複雑に感じられる: スマートフォンやパソコンの操作に慣れていない場合、最初の設定や日々の操作が難しく感じられることがあります。
- セキュリティへの不安: パスワードの管理や、フィッシング詐欺(銀行を装った偽のメールなどで情報を盗み取る行為)など、インターネットならではのリスクが存在します。
- トラブル時の対応: もし不正利用などのトラブルが発生した場合、どこに連絡すれば良いか判断に迷うことがあります。
これらのメリット・デメリットを踏まえ、親御さんのITスキルや理解度に合わせて、利用を検討したり、サポートの方法を考えたりすることが大切です。
親御さんが安全にネットバンキングを利用するためのサポートステップ
ご家族が親御さんのネットバンキング利用をサポートする際の具体的なステップをご紹介します。
- 一緒にネットバンキングについて学ぶ: まずはご家族自身が、利用を検討している銀行のネットバンキングサービスについて調べます。どのような機能があるか、セキュリティ対策はどのようになっているか、利用規約などを一緒に確認することから始めましょう。
- 利用する銀行とサービスを選ぶ: 親御さんが普段お使いの銀行でネットバンキングサービスがあるか確認します。操作の分かりやすさや、セキュリティ機能(二段階認証など)の充実度、困った時のサポート体制なども考慮して選びます。
- 申し込みと初期設定をサポート: サービスの申し込み手続きや、ID・パスワードの設定、セキュリティに関わる初期設定(合言葉の登録や二段階認証の設定など)を一緒に行います。パスワードは使い回さず、第三者に推測されにくいものを設定することの重要性を伝えます。
- 基本的な操作を練習する: いきなり複雑な操作を教えるのではなく、まずは残高照会や入出金明細の確認など、基本的な操作から始めます。実際に親御さんに操作してもらいながら、一緒に確認していくことが大切です。
- セキュリティ対策の基本を伝える: 不審なメールやSMS(ショートメッセージサービス)に注意すること、心当たりのないリンクはクリックしないこと、銀行の公式サイトかどうかをよく確認することなどを繰り返し伝えます。最新のセキュリティソフトを導入することも検討しましょう。
- 利用限度額を設定する: 不正利用のリスクを抑えるために、1日の振込限度額などを低めに設定しておくことを検討します。
- 操作メモやマニュアルを作成する: 操作手順を写真付きで分かりやすくまとめたメモや、銀行が提供している操作マニュアルを一緒に確認できるように準備しておくと、後で見返せて安心です。
高齢者にネットバンキングを教える際のポイント
デジタル操作に不慣れな親御さんにネットバンキングを教える際には、特に以下のような点を意識すると良いでしょう。
- ゆっくり、丁寧に: 一度に多くの情報を詰め込まず、一つの操作が終わったら一区切りつけるなど、親御さんのペースに合わせます。
- 「なぜそうするのか」を伝える: 単に操作方法だけでなく、「なぜここでパスワードを入れるのか」「なぜこの画面を確認するのか」など、その操作の意味や目的を伝えることで、理解が深まります。
- 成功体験を積む: 簡単な操作ができるようになったら、「できたね」「すごいね」など声に出して伝え、自信を持ってもらうことが重要です。
- 安全面を繰り返し強調する: セキュリティの重要性については、折に触れて繰り返し伝える必要があります。ただし、過度に不安を煽るのではなく、「注意すれば安全に使える」という安心感も同時に伝えます。
- すぐに手を出さない: 親御さん自身に考え、操作してもらう時間を設けます。困っているようであれば、「次はここを見てみようか」など、ヒントを出すことから始めます。
困った時に地域でネットバンキングについて相談できる場所
家族だけで解決が難しい場合や、より専門的なアドバイスが必要な場合に頼れる、地域の相談先をご紹介します。
- 銀行の窓口・電話相談窓口: ネットバンキングの操作方法や不明点については、利用している銀行に直接問い合わせるのが最も確実です。多くの銀行では、高齢者向けの相談窓口や、操作に関するサポート体制を設けています。事前に電話で確認してから出向くとスムーズな場合が多いです。
- 地域のIT支援団体やNPO: 高齢者向けのITサポートを専門に行っているNPOやボランティア団体が地域にある場合があります。これらの団体では、スマートフォンの基本的な使い方から、インターネット利用に関する様々な相談に乗ってくれます。ネットバンキングの具体的な操作方法やセキュリティに関する一般的なアドバイスを得られる可能性があります。自治体の社会福祉協議会や広報誌で紹介されていることもあります。
- 自治体のデジタル推進窓口: 地域の役所などに、デジタル活用に関する相談を受け付ける窓口が設置されていることがあります。スマートフォンの使い方全般の相談の中で、オンラインサービス利用に関するアドバイスを受けられる場合があります。
- 地域の高齢者向けスマホ教室: ネットバンキングそのものに特化した教室は少ないかもしれませんが、スマートフォンの基本的な操作やインターネットの安全な利用方法を学ぶことで、ネットバンキングを利用するための基礎スキルが身につきます。地域の公民館や社会福祉センターなどで開催されていることが多いです。
これらの相談先を活用することで、ご家族のサポート負担を軽減し、親御さんが安心してネットバンキングを利用できる環境を整えることができます。
まとめ
ネットバンキングは、高齢の親御さんの日々の暮らしを便利にする可能性を秘めたツールです。しかし、安全に利用するためには、ご家族の適切なサポートと、インターネットの利用に関する正しい知識が必要です。
ご家族だけで全てを解決しようとせず、困った時は銀行の窓口や地域のIT支援団体など、外部の専門家や相談窓口の力も借りることをためらわないでください。地域の様々な支援を上手に活用しながら、親御さんのデジタルライフを温かく見守り、支えていくことが大切です。