親御さんがITで「やってみたい!」を見つけた時 ~地域で見つける学びと相談の場~
親御さんの「やってみたい!」を応援したい気持ち、そして家族の戸惑い
親御さんがスマートフォンやパソコン、タブレットなどを使って、「これ、やってみたい!」と目を輝かせている姿を見るのは、ご家族にとって嬉しい瞬間ではないでしょうか。オンラインで昔好きだった映画を見たい、ネットスーパーで買い物を試したい、離れて暮らすお孫さんとビデオ通話をしてみたいなど、その「やってみたい!」は、親御さんの世界を広げ、日々の暮らしに彩りをもたらす大切な一歩となります。
しかし、その一方で、「どうやって教えればいいのだろう」「私自身も詳しくないのに」「つまずいた時にサポートできるかな」といった戸惑いや不安を感じられるご家族も少なくないかもしれません。親御さんの意欲を削がないように、でも無理なくサポートしたい。そのようにお考えの皆さまに向けて、親御さんの「やってみたい!」を叶えるために地域で活用できる学びや相談の場をご紹介します。
「やってみたい!」を叶えるために必要なこと
親御さんがITを使って特定の「やってみたいこと」を実現するためには、いくつかの基本的なITスキルが必要になることが多いです。例えば、
- インターネットの基本的な使い方: 知りたい情報を調べる、特定のウェブサイトを見る、といった操作。
- アプリケーション(アプリ)の操作: 見たい動画アプリを起動する、ネットスーパーのアプリで注文する、ビデオ通話アプリを設定するなど。
- 文字入力: 検索したい言葉や送りたいメッセージを入力する。
- 安全な利用: 詐欺やトラブルに巻き込まれないための基本的な注意点を知る。
これらのスキルは、一見難しそうに思えるかもしれませんが、適切なサポートがあれば、親御さんでも無理なく習得していくことが可能です。
家族がサポートする際のヒント、そして知っておきたい限界
ご家族が直接親御さんのITサポートをされることは、何よりも心強い支えとなります。教える際には、一度に多くのことを伝えすぎず、一つずつゆっくり進めること、親御さんが実際に操作するのを見守り、小さな成功体験を重ねてもらうことが大切です。根気強く寄り添う姿勢が、親御さんの安心感につながります。
ただし、ご家族だけですべてをサポートしようとすると、時間的な負担や精神的な負担が大きくなることもあります。また、教える側と教えられる側の関係性から、つい感情的になってしまったり、うまく伝わらなかったりすることもあるかもしれません。
そのような時は、「すべて自分で解決しなくてはいけない」と思いつめる必要はありません。地域のIT支援サービスや専門家の力を借りることも、親御さんの「やってみたい!」を応援し、ご家族自身の負担を軽減するための有効な選択肢となります。
地域で見つける「学び」の場:ITスキル習得の機会
親御さんが「やってみたい!」を叶えるための第一歩として、基本的なITスキルを身につけられる地域の「学び」の場を活用してみましょう。
- 自治体や社会福祉協議会が開催する講座: 高齢者向けの入門講座が定期的に開催されていることがあります。費用が安価または無料の場合が多く、同じ地域に住む方と一緒に学べる安心感があります。
- NPOや市民団体によるIT教室: 高齢者のデジタル活用支援を目的とした団体が、専門的な知識を持つスタッフやボランティアによって運営している教室です。個別の質問にも対応してもらえる場合があります。
- 地域のITボランティアグループ: 高齢者宅への訪問指導や、集会所などでの小規模な勉強会を行っている場合があります。きめ細やかなサポートが期待できます。
- 民間のパソコン教室: 高齢者向けのコースを設けている教室もあります。費用はかかりますが、体系的にしっかりと学びたい場合に適しています。
- 携帯電話会社の店舗: スマートフォンの基本的な使い方や設定に関する教室を開催している場合があります。購入した機種に合わせた内容を学べる利点があります。
- 家電量販店: パソコンやタブレットの操作方法、特定サービスの利用方法に関する相談会や講座を実施していることがあります。
これらの場所では、スマートフォンの基本操作から、インターネットでの検索、メールの送受信、写真の取り込み、特定のアプリの使い方など、「やってみたい!」の実現に必要なスキルを、専門家や経験者のサポートを受けながら学ぶことができます。施設の雰囲気や料金、開催日時などを確認し、親御さんに合った場所を探してみましょう。
地域で見つける「相談」の場:困った時の強い味方
「やってみたい!」に挑戦する中で、必ずしもスムーズに進むとは限りません。操作方法が分からなくなったり、予期せぬトラブルが起きたりすることも当然あります。また、どのサービスを選べば良いか分からない、といった迷いも生じるでしょう。そんな時に頼りになるのが、地域の「相談」の場です。
- 自治体の高齢者向け相談窓口: デジタル活用に関する相談を受け付けている場合があります。地域の他の支援サービスへの橋渡しをしてくれることもあります。
- 社会福祉協議会: 高齢者の様々な困りごとに関する相談を受け付けており、ITに関する相談に応じたり、関連情報を提供したりしています。
- 地域のITサポート窓口(デジタルデバイド解消推進事業など): 国や自治体の取り組みとして、高齢者などがデジタル機器やサービスの使い方について無料で相談できる窓口が設置されている場合があります。
- NPOや市民団体の相談窓口: IT教室と併設されている場合や、電話・オンラインでの相談を受け付けている場合があります。
- ITボランティア: 個別相談に応じているボランティアグループもあります。
これらの相談窓口では、特定の操作方法に関する質問だけでなく、「こんなことがしたいけれど、どうすれば良いか分からない」「以前はできたのに急にできなくなった」「詐欺かもしれないメールが届いた」といった具体的な困りごとについて専門家や経験者に相談することができます。また、ご家族が親御さんのサポートに行き詰まった際に、教え方のアドバイスを求めたり、サポートの一部を依頼したりすることも可能かどうか、問い合わせてみる価値は十分にあるでしょう。
「やってみたい!」の意欲を継続するために
親御さんがITを通じて「やってみたい!」という気持ちを持ち続けるためには、一度きりのサポートではなく、継続的に学び、困った時にすぐに相談できる環境があることが重要です。
ご家族だけで全てを抱え込まず、地域にある多様なIT支援サービスを上手に活用することで、親御さんはもちろんのこと、サポートするご家族自身の負担も軽減され、より良い関係性の中で「やってみたい!」を応援していくことができるはずです。
まずは、お住まいの地域の自治体や社会福祉協議会のウェブサイトを確認したり、地域の高齢者施設や公民館に問い合わせてみたりすることから始めてみてはいかがでしょうか。親御さんの「やってみたい!」という大切な一歩を、地域全体で支えていくことができるかもしれません。