親御さんのためのオンラインショッピング ~安全に利用するコツと地域で相談できる場所~
はじめに:便利さの裏にある不安と家族のサポート
親御さんから「ネットでお買い物をしたいけど、どうすればいいの?」「〇〇を買いたいんだけど、代わりに注文してくれる?」と頼まれることはありませんか。オンラインショッピングは、自宅にいながら様々な商品を探し、購入できる大変便利なサービスです。重たい荷物を運ぶ必要もなく、日用品から趣味のものまで手軽に手に入れられます。
しかし、その便利さの反面、「どうやって支払うの?」「個人情報を入力するのは大丈夫?」「間違って買ってしまわないか心配」といった不安や、「偽のサイトではないか」「詐欺に遭わないか」といったリスクも存在します。家族としては、親御さんに便利なサービスを利用してほしいと思う一方で、これらの不安やリスクから守りたい、でも教えたり代わりに注文したりするのに時間や労力がかかり、負担を感じることもあるかもしれません。
この記事では、親御さんがオンラインショッピングを安全に利用するための基本的なコツと、家族がサポートする際のヒント、そしてもしもの時に相談できる地域の窓口についてご紹介します。
親御さんがオンラインショッピングでつまずきやすい点・感じやすい不安
高齢の方がオンラインショッピングに挑戦する際に、特に難しさやつまずきを感じやすい点はいくつかあります。
- 操作方法がわからない:
- サイトの探し方、商品の検索方法がわからない。
- 商品をカートに入れる、注文を確定するといった一連の流れが理解しにくい。
- 会員登録やログインが必要な場合、手順が複雑に感じる。
- 支払い方法への不安:
- クレジットカード情報の入力に抵抗がある、または入力方法がわからない。
- コンビニ払いや銀行振込など、普段と違う支払い方法に戸惑う。
- フィッシング詐欺などでカード情報を盗まれることを心配する。
- 個人情報の入力:
- 氏名、住所、電話番号などの入力をためらう。
- 情報漏洩のリスクを懸念する。
- 偽サイトや詐欺への不安:
- 公式サイトと偽サイトの見分けがつかない。
- 極端に安い商品広告に騙されないか心配。
- 不審なメールやSMS(ショートメッセージサービス)にどう対応すれば良いかわからない。
- 返品やキャンセル:
- 間違って注文した場合や、届いた商品に問題があった場合の対応方法がわからない。
これらの不安は、オンラインショッピングの経験がない、あるいは少ない方にとっては当然のことです。家族がサポートする際は、これらの点を理解し、親御さんのペースに合わせて丁寧に説明することが重要です。
安全にオンラインショッピングを利用するための基本的なコツ
親御さんが安心してオンラインショッピングを楽しむために、いくつか基本的な安全対策を知っておくことが大切です。
1. 信頼できるサイトかどうか確認する
- 有名な大手サイトを利用する: まずは、親御さんが名前を知っているような、テレビCMや新聞広告で見かける大手の通販サイトから始めるのがおすすめです。多くの場合、セキュリティ対策もしっかりしています。
- サイトのアドレス(URL)を確認する: ブラウザのアドレスバーに表示されるサイトのアドレス(URL)が、公式サイトのものと一致しているか確認します。不審なアドレスではないか注意が必要です。
- サイトに会社の情報や連絡先があるか確認する: サイトの下部などに、会社の名称、住所、電話番号、メールアドレスなどがきちんと表示されているか確認します。これらが不明瞭なサイトは注意が必要です。
- レビューや評判を参考にする: 可能であれば、実際にそのサイトやショップを利用した人のレビューや評判を参考にします。
2. 個人情報と支払い方法に注意する
- 必要以上の情報を入力しない: 注文に必要な情報(氏名、住所、電話番号、支払い情報など)以外に、関係ない情報を求められた場合は注意が必要です。
- 安全な支払い方法を選ぶ: 初めて利用するサイトや不安がある場合は、クレジットカード払いだけでなく、コンビニエンスストアでの支払い、代金引換、銀行振込など、他の支払い方法が選べるか確認します。家族がサポートできるのであれば、プリペイド式のカードを利用することも選択肢の一つです。
- クレジットカード情報の管理: クレジットカードを利用する場合は、カード番号や有効期限、セキュリティコードなどを厳重に管理し、不審なサイトには絶対に入力しないようにします。可能であれば、家族用のサブカードを作成したり、利用限度額を設定したりすることも検討できます。
3. 不審なメールや広告に注意する
- 見慣れないメールは開かない、クリックしない: 有名な会社やサービスを装った不審なメール(フィッシングメール)に注意します。メール内のリンクを安易にクリックしたり、添付ファイルを開いたりしないように伝えます。
- 個人情報を求めるメールは無視する: サイトのIDやパスワード、クレジットカード情報などをメールで聞き出すことはありません。そのようなメールが届いても、絶対に返信したり情報を入力したりしないようにします。
- 「当選しました」「未払い料金があります」などの件名に注意: 詐欺の可能性が高い件名や、人の不安を煽るような内容は特に警戒が必要です。
4. 購入履歴や明細を確認する習慣をつける
- オンラインショッピングで購入した記録は、サイト上のマイページや注文確認メールで確認できます。定期的に確認する習慣をつけることで、身に覚えのない注文がないかチェックできます。
- クレジットカードの利用明細もこまめに確認し、不審な請求がないか確認します。
家族が教える際のポイント
これらの安全対策を親御さんに伝える際は、「あれもダメ、これもダメ」と否定的に伝えるよりも、「こうするともっと安心して使えるよ」「この点だけ気をつければ大丈夫だよ」と肯定的に伝えることが大切です。また、実際にパソコンやスマートフォンを操作しながら、具体的な画面を見せて説明すると理解しやすくなります。
困った時、不安な時に頼れる地域や公的な窓口
安全に注意していても、時にはトラブルに巻き込まれたり、どうすれば良いか分からなくなったりすることもあります。そんな時に一人で悩まずに相談できる窓口を知っておくと安心です。
- 消費生活センター:
- 商品やサービスに関する事業者とのトラブル、悪質な商法に関する相談を受け付けています。オンラインショッピングでの詐欺被害や、商品が届かない、解約できないといった問題について相談できます。局番なしの「188番」(いやや!)に電話すると、お近くの消費生活センターにつながります。
- 地域のIT教室や高齢者向けサロン:
- オンラインショッピングの具体的な操作方法や、インターネットの安全な利用方法について教えてくれる教室やイベントが開催されていることがあります。実際に操作しながら学べるため、理解が深まります。お住まいの自治体の広報誌やウェブサイト、地域の社会福祉協議会などで情報が得られる場合があります。
- 自治体の相談窓口:
- 自治体によっては、高齢者向けのIT相談窓口を設けていたり、消費生活相談窓口でITに関する相談も受け付けていたりします。お住まいの市区町村のウェブサイトなどで確認してみてください。
これらの窓口に相談することで、専門家からのアドバイスを得られたり、適切な対応方法を教えてもらえたりします。家族だけで抱え込まず、積極的に活用することをおすすめします。
まとめ:安全を知って、便利にオンラインショッピングを楽しもう
オンラインショッピングは、高齢の方にとっても生活を豊かにする便利なツールとなり得ます。しかし、安全に関する知識がないまま利用することはリスクを伴います。
親御さんがオンラインショッピングを利用したいという気持ちを尊重しつつ、今回ご紹介したような基本的な安全対策を一緒に確認してみてください。家族が全てを教えたり、代わりに注文したりするだけでなく、親御さん自身が安全に利用できるようになることを目指し、その過程でつまずいたらサポートするというスタンスが望ましいかもしれません。
もし操作方法が分からなかったり、不安なことやトラブルが発生したりした場合は、一人で悩まずに、地域のIT支援サービスや消費生活センターなどの相談窓口を積極的に活用しましょう。
安全に利用するための知識と、困った時に頼れる場所を知っておくことで、親御さんのデジタルライフはより安心で豊かなものになるはずです。