高齢者のインターネット利用、安全に!詐欺・トラブル対策と地域での支援
高齢者のインターネット利用と潜むリスク
インターネットやスマートフォンは、ご両親の暮らしを豊かにする一方で、残念ながらさまざまな危険も潜んでいます。特に高齢者は、最新の詐欺の手口を知らなかったり、操作に不慣れだったりすることから、悪意のある第三者から狙われやすい傾向が見られます。
「親が変なサイトを見ていないか心配」「怪しいメールが来ていないか気になる」――そうしたご家族のご心配は当然のことです。すべてを遮断するのは難しいからこそ、リスクを知り、適切に対策を講じることが大切になります。
この記事では、高齢者が遭遇しやすいインターネット上の詐欺やトラブルの種類、ご家族が一緒にできる具体的な対策、そして困った時や被害に遭ってしまった場合に頼れる地域の支援や相談窓口についてご紹介します。
高齢者が狙われやすいインターネット詐欺・トラブルの種類
高齢者がインターネットを利用する上で注意したい代表的な詐欺やトラブルには、以下のようなものがあります。
- ワンクリック詐欺: 料金が発生するといった警告画面が表示され、クリックしただけで高額請求される手口です。実際にはクリックしただけでは契約は成立しません。
- フィッシング詐欺: 銀行や大手企業などを装ったメールやSMSを送りつけ、偽のウェブサイトに誘導して、IDやパスワード、クレジットカード情報などを不正に入手しようとする手口です。
- 架空請求詐欺: 利用していないサービスの料金や、身に覚えのないインターネット利用料などを請求する手口です。
- サポート詐欺: パソコンのウイルス感染などを装った偽の警告画面を表示させ、「修理する」などと言ってサポート費用をだまし取ったり、遠隔操作で不正な操作を行ったりする手口です。
- 不審な広告・ポップアップ: 偽の当選通知やセキュリティ警告などを表示し、個人情報の入力や不要なソフトの購入を促すものです。
これらの手口は巧妙化しており、見た目だけでは本物と区別がつきにくい場合もあります。
家族ができる!高齢者向けインターネット安全対策
ご家族がご両親と一緒にできる、具体的な安全対策をいくつかご紹介します。
1. 不審なものには触らない、個人情報を安易に入力しない
- 怪しいメールやSMSは開かない、URLをクリックしない: 知らない差出人からのメールや、内容に心当たりのないメッセージは、開かずに削除することが基本です。「ここをクリックしてください」といったURLには特に注意が必要です。
- 不審なウェブサイトで個人情報を入力しない: 公式サイトかどうかをよく確認し、安易に住所や電話番号、クレジットカード情報などを入力しないように伝えます。
- ポップアップ広告に注意: 画面に突然表示される「当選しました」「ウイルスが見つかりました」といった広告は、偽物であることがほとんどです。表示を閉じ、指示に従わないことが重要です。
2. セキュリティソフトの活用と機器の更新
- セキュリティソフトを導入し常に最新の状態に: ウイルスや不正アクセスから機器を守るために、信頼できるセキュリティソフトを導入し、常に定義ファイルが更新されるように設定しておきます。
- OSやアプリは最新の状態に: スマートフォンやパソコンの基本ソフト(OS)やアプリは、常に最新の状態にアップデートすることが推奨されます。アップデートにはセキュリティを強化する修正が含まれているためです。設定で自動更新を有効にしておくと安心です。
3. 日頃からのコミュニケーションと心構え
- インターネットの話を日常的にする: ご両親が普段どのようにインターネットを使っているか、どんな情報を見ているかなどを、気軽に話せる関係を築きます。これにより、ご両親が不審な情報に触れた際に相談しやすくなります。
- 「すぐに決めない」「一人で抱え込まない」という心構えを伝える: 不審な要求や請求に遭遇した場合でも、すぐに返事をしたり、一人で対応したりせず、必ず家族や信頼できる人に相談するよう伝えておくことが非常に重要です。
高齢者に安全対策を伝える上での工夫
安全対策についてご両親に伝える際は、単に「〜してはだめ」と禁止するだけでなく、以下の点に配慮するとより効果的です。
- 専門用語を避ける: 「フィッシング」「マルウェア」といった言葉ではなく、「偽物のメール」「変なウイルス」のように、分かりやすい言葉で説明します。
- 具体的な事例を交える: 新聞やテレビで報道された実際の被害事例などを紹介すると、自分事として捉えてもらいやすくなります。
- 不安を煽りすぎない: 必要以上に怖がらせると、インターネットを使うこと自体をためらってしまう可能性があります。「正しく使えば安心ですよ」「少し気をつけましょうね」といった前向きな伝え方を心がけます。
- 繰り返し伝える: 一度伝えただけでは忘れてしまうこともあります。折に触れて、繰り返し、根気強く伝えることが大切です。
困った時、もし被害に遭ってしまったら?頼れる相談窓口
万が一、ご両親がインターネット詐欺やトラブルに巻き込まれてしまった場合、一人で悩まず、すぐに相談することが重要です。以下のような相談窓口があります。
- 消費者ホットライン(電話番号:188): 消費者トラブルに関する相談を受け付けています。最寄りの消費生活センター等につながり、専門の相談員がアドバイスをしてくれます。
- 警察相談専用電話(電話番号:#9110): 生活の安全に関する悩みや困りごとについて相談できます。事件に発展する前の段階でも相談が可能です。緊急の事件の場合は110番です。
- 地域のIT支援団体やボランティア: お住まいの地域によっては、高齢者向けのITサポートを行っている団体が、トラブルに関する相談にも対応してくれる場合があります。市区町村の社会福祉協議会やNPOなどに問い合わせてみるのも良いでしょう。
- 契約している通信事業者やサービス提供元: インターネット回線事業者やスマートフォンの携帯電話会社によっては、セキュリティに関する相談窓口を設けている場合があります。
これらの窓口に相談することで、適切な対応方法や次のステップについて具体的なアドバイスを得ることができます。
まとめ
高齢者のインターネット利用における詐欺やトラブルは増加傾向にありますが、適切な知識と対策があれば、リスクを減らし安全に利用することができます。ご家族が日頃から見守り、分かりやすく安全対策を伝え、そして万が一の際には一人で抱え込まず専門機関に相談できる体制を整えておくことが重要です。
ご家族だけで全てを抱え込む必要はありません。地域のIT支援や専門の相談窓口を上手に活用しながら、ご両親が安心してインターネットの恩恵を受けられるようサポートしていきましょう。