高齢者向けタブレット活用ガイド ~どんなことができる? 地域で聞ける場所は?~
はじめに
いつも親御さんのITサポートにご尽力されている皆様、お疲れ様でございます。スマートフォンは便利ですが、画面が小さくて操作しにくいと感じる高齢の方もいらっしゃいます。そこで、最近関心が高まっているのが「タブレット」です。
画面が大きく、操作しやすいと言われるタブレットは、親御さんのデジタルライフをより豊かにする可能性を秘めています。しかし、種類がたくさんあり、何を選べば良いのか、どのように活用すれば良いのか、また困った時はどこに相談できるのか、悩まれる方も少なくないでしょう。
この記事では、高齢者向けのタブレット選びのヒントから、具体的な活用法、そして地域で相談できる場所について分かりやすくご案内します。
高齢者の方にタブレットをおすすめする理由
なぜ高齢者の方にタブレットが適していると言われるのでしょうか。主な理由をいくつかご紹介します。
- 画面が大きい: スマートフォンに比べて画面サイズが大きいものが多く、文字や画像が見やすい点が大きな利点です。目の疲れを軽減し、操作ミスを減らすことにつながります。
- 操作が直感的: タッチパネルでの操作が中心で、指で直接画面を触って操作するため、パソコンのマウス操作などに比べて直感的に理解しやすい場合があります。
- 持ち運びしやすい: ノートパソコンほど大きくなく、比較的軽量なため、家の中のどこへでも持ち運んで使用できます。
- 用途が幅広い: インターネット閲覧、動画視聴、読書、ビデオ通話、ゲームなど、様々な用途に活用できます。
もちろん、全ての高齢者の方にタブレットが最適とは限りません。スマートフォンの操作に慣れている方や、通話機能が必須の方もいらっしゃいます。しかし、特定の用途に特化したい場合や、スマートフォンでは画面が小さすぎると感じる場合には、タブレットが有効な選択肢となり得ます。
タブレットでどんなことができる?具体的な活用法
親御さんがタブレットを持つことで、どのようなデジタルライフが実現するのでしょうか。具体的な活用例を見てみましょう。
1. 家族や友人とのコミュニケーション
- ビデオ通話: 離れて暮らす家族や友人と、顔を見ながら気軽に会話できます。画面が大きいので、複数人でのビデオ通話にも適しています。
- メッセージのやり取り: LINEなどのメッセージアプリを使って、文字だけでなく写真や動画の交換も楽しめます。キーボード入力だけでなく、手書き入力や音声入力が可能なアプリもあります。
2. 趣味や学習を広げる
- 動画視聴: YouTubeなどで様々なジャンルの動画を楽しめます。趣味のチャンネルを見たり、昔の映像を探したりするのも良いでしょう。
- 読書: 電子書籍アプリを利用すれば、活字の大きさを調整して読むことができます。図書館の電子図書館サービスを利用することも可能です。
- オンライン学習: 趣味に関するオンライン講座を受講したり、脳トレアプリでゲーム感覚で楽しんだりできます。
- 音楽鑑賞: 音楽配信サービスを利用したり、CDから取り込んだ音楽を聴いたりできます。
3. 生活に役立てる
- インターネット検索: 知りたいこと、調べたいことをすぐに検索できます。天気予報やニュースのチェックにも便利です。
- 健康管理: 服薬時間を知らせてくれるアプリや、簡単な運動方法を紹介するアプリなどを活用できます。
- オンラインショッピング: 食料品や日用品などを自宅にいながら購入できます。地域のスーパーのオンラインストアなども増えています。
- オンライン行政手続き: マイナポータルなど、一部の行政手続きをオンラインで行える場合もあります。
高齢者向けタブレット選びのポイント
タブレットには様々な種類がありますが、高齢者の方が使うことを想定した場合、いくつか注目したいポイントがあります。
- 画面サイズ: 持ち運びやすさとのバランスを見ながら、文字やアイコンが見やすい十分な大きさのものを選びましょう。一般的には8インチ以上のサイズが見やすいと言われています。
- 操作のシンプルさ: 高齢者向けのインターフェース(画面表示や操作方法)に切り替えられる機能があるか、または操作がシンプルな機種かを確認しましょう。
- 文字やアイコンの大きさ: 設定で文字やアイコンを大きく表示できるかどうかも重要なポイントです。
- 通信方法: Wi-Fi環境がある自宅でのみ使用するのか、外出先でも使用したいのかによって、Wi-FiモデルかSIMフリーモデル(別途通信契約が必要)かが変わります。まずは自宅での利用から始める場合、Wi-Fiモデルで十分なことが多いです。
- 価格: 数千円で購入できる安価なものから、数万円、十数万円するものまで様々です。用途や予算に合わせて選びましょう。
電気店などで実際に手に取ってみたり、店員さんに相談してみたりすることもおすすめです。
困った時はどこに相談できる? 地域でのIT支援
タブレットの購入や設定、使い始めてからの「困った」に直面した時、家族だけで解決しようとすると負担が大きくなることもあります。そんな時に頼りになるのが、地域のIT支援サービスや相談窓口です。
- 地域のIT教室・スマホ教室: 高齢者向けのタブレット講座を開催している場合があります。基本的な操作方法から特定のアプリの使い方まで、専門家が丁寧に教えてくれます。集団での受講は、同じ悩みを持つ仲間との交流の場にもなります。
- 自治体や社会福祉協議会の窓口: 高齢者向けのデジタル機器相談窓口を設置している自治体があります。無料または安価で、基本的な使い方や困りごとの相談に乗ってくれる場合があります。
- NPO法人や市民活動団体: 高齢者のIT活用を支援するNPOやボランティア団体が、地域の公民館などで個別相談会や操作支援を行っていることがあります。
- 電気店や携帯ショップ: 店舗によっては、購入後の設定サポートや簡単な使い方相談に対応している場合があります。(有料の場合もあります)
これらの情報を集める際は、自治体の広報誌やウェブサイト、地域の社会福祉協議会のウェブサイトなどを確認してみましょう。また、インターネット検索で「お住まいの地域名 高齢者 タブレット 教室」などと検索するのも有効です。
親御さんのタブレット活用をサポートするヒント
家族として親御さんのタブレット活用をサポートする際に、少し意識しておきたい点があります。
- 焦らず、ゆっくりと: 高齢になると新しい操作を覚えるのに時間がかかる場合があります。繰り返し質問されても、焦らず、ゆっくりと同じペースで説明することが大切です。
- 「できていること」を褒める: 小さなことでも、自分で操作できた時には具体的に褒めてあげましょう。「このボタンを自分で押せたね」「写真が送れてすごいね」など、肯定的な言葉が意欲につながります。
- 一緒に楽しむ: 親御さんが興味を持ちそうなアプリを一緒に探したり、ビデオ通話で孫の顔を見たり、一緒に動画を見たりすることで、タブレットを使うこと自体が楽しい体験になります。
- 「なぜ」を理解する手助け: なぜこのボタンを押すのか、なぜこの操作が必要なのか、理由を添えて説明することで、操作の意味をより深く理解しやすくなります。
- 困った時の対処法を伝える: 自分で解決できない場合にどうすれば良いか(例: 一度電源を切る、家族に聞く、地域の相談窓口に電話するなど)をあらかじめ伝えておくと、安心して使えます。
おわりに
タブレットは、適切に活用すれば高齢者の方の生活の質を高め、家族とのつながりを深める素晴らしいツールとなり得ます。全てを家族だけで抱え込まず、地域の様々なIT支援や相談窓口を積極的に活用することも、親御さんのため、そしてご自身の負担軽減のためにも非常に有効です。
この記事が、親御さんのタブレット活用を検討する一助となれば幸いです。地域には、皆様のサポートを支える様々な機関がありますので、ぜひ情報を探してみてください。