高齢者向け無料IT支援サービスを地域で見つける 〜行政や自治体の取り組みを知る〜
親御さんのITサポート、一人で抱え込んでいませんか?
スマートフォンやインターネットが暮らしの中に浸透するにつれて、ご高齢のご家族のデジタル機器に関するサポートを担う機会が増えている方も多いのではないでしょうか。ちょっとした操作方法の質問から、設定変更、トラブル対応まで、ご家族の負担が増しているというお声も耳にします。
もちろん、ご家族がサポートすることは素晴らしいことですが、専門的な内容であったり、繰り返し教えることに難しさを感じたりすることもあるかもしれません。また、ご自身の時間も大切にしたいとお考えの方もいらっしゃるでしょう。
実は、このような家族の負担を軽減し、親御さんご自身が自信を持ってデジタル機器を利用できるようになるための支援が、行政や地域の様々な場所で提供されているのをご存知でしょうか。特に、無料で利用できるサービスも数多く存在します。
このコラムでは、高齢者のデジタル活用を後押しするために国や自治体が進めている取り組みに触れながら、地域で見つけられる無料または低額で利用できるIT支援サービスについて、その種類や探し方、活用する上でのポイントをご紹介いたします。親御さんのデジタルライフを支える新たな選択肢として、ぜひご一読ください。
高齢者のデジタル化を支援する公的な取り組み
近年、国を挙げてデジタル社会の実現を目指す中で、全ての人がデジタル化の恩恵を受けられるよう、いわゆる「デジタルデバイド(情報格差)」の解消が重要な課題とされています。特に、高齢者の方々が取り残されることのないよう、様々な支援策が打ち出されています。
例えば、総務省では「デジタル活用支援推進事業」などを通じて、全国各地で高齢者などを対象としたスマートフォン教室の開催などを後押ししています。これを受けて、多くの自治体や関係団体が、地域の実情に応じたきめ細やかな支援を展開しています。
これらの取り組みの目的は、単に機器の操作方法を教えるだけでなく、デジタルを通じて生活がより豊かになり、社会との繋がりを維持・向上させることにあります。公的な支援があることを知るだけでも、親御さんのITサポートに対する見方が変わるかもしれません。
地域で見つかる無料・低額IT支援サービスの種類
では、具体的にどのような支援が地域で提供されているのでしょうか。主なサービスをいくつかご紹介します。
- 自治体主催・委託のスマホ・タブレット教室: 市区町村が直接主催したり、民間の事業者やNPO法人に委託したりして開催される講座です。スマートフォンの基本的な使い方から、LINEやインターネット検索、オンライン手続きの方法など、様々なレベルや内容の教室があります。無料またはテキスト代程度のご負担で参加できる場合が多いです。
- 公民館や図書館での相談会・個別サポート: 地域の公民館や図書館などの公共施設で、定期的にITに関する無料相談会が開催されたり、常駐するデジタルサポーターに個別で質問ができたりするサービスです。予約が必要な場合や、質問内容に制限がある場合もあります。
- 地域のNPOや市民活動団体による支援: 高齢者支援や地域活性化を目的とするNPO法人やボランティア団体が、ITに関する相談対応や訪問サポートを行っていることがあります。個別の困りごとにきめ細かく対応してくれるのが特長です。料金設定は団体によって異なりますが、無料や比較的安価なことが多いです。
- 携帯キャリアショップでの高齢者向けサポート: 大手携帯電話会社のショップでも、契約者向けにスマートフォンの基本操作に関する無料講座を開催したり、使い方相談に応じたりしています。購入や契約に関する手続きと合わせて相談できる利便性があります。
- 地域包括支援センターなどでの情報提供: 高齢者の様々な相談を受け付けている地域包括支援センターなどで、地域のIT支援サービスに関する情報を提供している場合があります。他の福祉サービスと合わせて相談できるため、相談しやすいかもしれません。
これらのサービスは、お住まいの地域によって提供状況や内容が異なります。複数の選択肢があることを知っておくと、親御さんに合ったサービスを見つけやすくなります。
公的なIT支援サービスをどうやって探すか?
それでは、これらの情報をどのように入手すれば良いのでしょうか。いくつか具体的な探し方をご紹介します。
- お住まいの市区町村のウェブサイトを確認する:
- 「高齢者」「IT」「スマホ教室」「デジタル」といったキーワードで検索してみましょう。
- 「広報〇〇(市区町村名)」というページに掲載されているイベント情報の中に、IT講座の案内があることも多いです。
- 高齢者福祉課や情報政策課など、関連部署のページに情報がまとまっている場合があります。
- 地域の包括支援センターや社会福祉協議会に問い合わせる:
- 地域の高齢者向けサービスに詳しい窓口です。IT支援に関する情報を尋ねてみましょう。
- 公民館や図書館の窓口・掲示板を見る:
- 地域で開催される講座やイベントの案内が掲示されていることがあります。窓口で直接尋ねてみるのも良い方法です。
- インターネット検索を活用する:
- 「〇〇市 高齢者 スマホ教室 無料」「〇〇区 ITサポート 行政」「〇〇町 デジタル相談 ボランティア」など、地域名と具体的なサービス内容を組み合わせて検索してみましょう。
- 民生委員や地域の福祉関係者に尋ねる:
- 地域の情報に詳しい方々です。何か情報を持っていないか尋ねてみるのも一つの方法です。
情報を探す際は、最新の情報であるか、参加条件(対象年齢、居住地など)、費用、開催場所、開催日時、予約の要否などをしっかりと確認することが重要です。
サービスを利用する際のポイント
いざ、地域のIT支援サービスを利用する際に、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
- 親御さんの目的とレベルに合っているか: 何を学びたいのか、どのくらいのレベルを求めているのかを親御さんとよく話し合い、それに合ったサービスを選びましょう。集団で基礎から学びたいのか、個別に特定の操作だけ知りたいのかなど、ニーズは様々です。
- 場所や時間に無理がないか: 親御さんが無理なく通える場所か、時間帯は都合が良いかを確認します。オンラインでの支援を提供している場合もありますので、そちらも選択肢に入れることができます。
- 予約の要否と持ち物の確認: 多くのサービスは事前の予約が必要です。また、スマートフォン本体はもちろん、充電器や操作に必要なID・パスワードなど、持ち物を確認し、忘れずに準備しましょう。
- 付き添いや送迎について: ご家族の付き添いが可能か、送迎サービスはあるかなども確認しておくと安心です。
- 親御さんのペースを尊重する: サービスを利用する際も、親御さんのペースで学べるか、質問しやすい雰囲気かなどが大切です。体験参加が可能であれば利用してみるのも良いでしょう。
家族ができること:繋げる役割
地域のIT支援サービスは、親御さんのデジタル活用を直接サポートしてくれる頼もしい存在です。しかし、多くの場合、親御さん自身が情報を探したり、申し込んだりすることは難しいかもしれません。
そこで、ご家族の役割が重要になります。地域にどのようなサービスがあるのかを調べ、親御さんに「こんな場所でスマホの使い方を教えてくれるそうだよ」「〇〇公民館で無料の相談会があるみたいだよ」などと、情報を分かりやすく伝えてあげましょう。
親御さんが興味を持ったら、一緒にサービスの内容を確認したり、申し込む手続きを手伝ったりするのも良いでしょう。実際にサービスを利用した後で、「今日の教室はどうだった?」「何か分かったことがあった?」などと声かけをし、学んだことの実践を促すことも、親御さんの自信に繋がります。
全てのサポートをご家族だけで抱え込む必要はありません。地域の様々な支援を上手に活用することで、親御さんのデジタルライフはより安心で豊かなものになり、同時にご家族の負担も軽減されるはずです。
まとめ
この記事では、高齢者のデジタル活用を支援する公的な取り組みと、地域で見つけられる無料・低額のIT支援サービスについてご紹介しました。行政や自治体、地域の団体などが提供するサービスは、親御さんが安心してデジタル機器を学び、使いこなすための invaluable なリソースです。
親御さんのITサポートに難しさを感じている、もっと専門的なサポートを受けさせたい、あるいはご自身の負担を減らしたいとお考えのご家族は、ぜひ一度お住まいの地域でどのようなIT支援サービスが提供されているのか調べてみてください。市区町村のウェブサイトや地域包括支援センターなどが、情報収集の第一歩となるでしょう。
地域の支援を上手に活用することで、親御さんはもちろん、ご家族にとっても、より快適で前向きなデジタルとの付き合い方が見つかることを願っています。