親御さんにキャッシュレス決済を教える時のポイントと地域支援
親御様のデジタルサポートを担当されている皆様、いつもありがとうございます。「高齢者のためのITおたすけ隊」編集部です。
近年、キャッシュレス決済の種類が増え、お店でスマートフォンやカードをかざして支払う姿を見かける機会も多くなりました。利便性の高さから、親御様世代でもキャッシュレス決済に関心を持たれる方が増えています。
しかし、いざご両親に使い方を教えようとすると、「セキュリティは大丈夫なの?」「操作が難しそう」「チャージの仕組みがよく分からない」といった疑問や不安に直面し、教える側も戸惑うことがあるのではないでしょうか。
この記事では、親御様にキャッシュレス決済を教える際の基本的なポイントや、つまずきやすい点への対応策、そして万が一困ったときに頼れる地域の支援についてご紹介します。
親御様にキャッシュレス決済を教える前に
まず、なぜキャッシュレス決済を使うのか、親御様と一緒にメリットを整理してみましょう。
- 小銭いらずでスマート: 財布が小銭で重くなることがなくなり、支払いがスムーズになります。
- ポイントが貯まる: 支払金額に応じてポイントが貯まり、お得に買い物ができます。
- 利用履歴が残る: いつ、どこで、いくら使ったかが記録されるため、家計管理に役立ちます。(ただし、見方や活用の仕方を丁寧に説明する必要があります)
- 衛生的: 現金の受け渡しが減り、衛生的に安心です。
これらのメリットを具体的に伝えることで、親御様の「使ってみたい」という気持ちを引き出すことができます。
高齢者向けのキャッシュレス決済の種類と選び方
キャッシュレス決済にはいくつかの種類がありますが、親御様が初めて利用される場合は、比較的シンプルで分かりやすいものから始めるのがおすすめです。
- 交通系ICカード(Suica, PASMOなど): 電車やバスだけでなく、コンビニやお店でも使えます。カードを端末にかざすだけの操作は直感的で分かりやすいでしょう。あらかじめチャージしておくプリペイド方式が一般的です。
- 流通系電子マネー(WAON, nanacoなど): イオンやセブン&アイグループなど、特定のスーパーや店舗で広く使えます。これもカード型が多く、チャージしてかざすスタイルです。
- QRコード決済(PayPay, 楽天ペイ, LINE Payなど): スマートフォンアプリを利用します。お店のQRコードを読み取るか、お店に自分のスマホのQRコードを読み取ってもらう方法があります。使えるお店が急速に増えていますが、スマホ操作に慣れている方向けと言えます。
最初は普段のお買い物でよく使うお店で利用できるものや、操作がシンプルなカード型電子マネーから試してみてはいかがでしょうか。
親御様に教える際の基本的なポイント
教える際は、以下の点に注意するとスムーズに進みやすいでしょう。
- 焦らず、ゆっくりと: 高齢になると新しいことを覚えるのに時間がかかる場合があります。繰り返し説明し、実際に操作する時間も十分に確保してください。
- 「なぜ」を明確に: なぜこのボタンを押すのか、なぜこの画面になるのか、操作の意味を一緒に理解していくことが大切です。
- シンプルな機能から: 最初から全ての機能を説明する必要はありません。まずは「お店で支払う」という基本的な操作ができるようになることを目指しましょう。
- 一緒に操作してみる: 一方的に説明するだけでなく、親御様自身が実際にスマートフォンやカードを操作する機会を多く作りましょう。隣で見守り、必要なときにだけ手を貸すのが効果的です。
- 成功体験を積む: 小さな成功(「チャージができた」「お店で使えた」)を積み重ねることで、自信につながります。
- 安全性を一番に: 不審なメッセージやメールには応答しない、パスワードを人に教えないなど、基本的なセキュリティ対策の重要性を根気強く伝えましょう。
つまずきやすいポイントとその対応策
親御様がキャッシュレス決済を使う上でつまずきやすい点と、それに対する対応策をいくつかご紹介します。
- アプリの起動やログイン: アプリが見つからない、パスワードを忘れた、といったケースが多いです。アプリのアイコンを分かりやすい場所に配置したり、パスワードの管理方法を一緒に考えたりすることが有効です。
- チャージ方法が分からない: コンビニでのチャージ、銀行口座からのチャージなど、方法はいくつかあります。まずは最も利用しやすい方法を一つ選び、一緒に手順を練習しましょう。少額からチャージして試すのも良い方法です。
- 支払いの手順が分からない: お店によって「QRコードを見せる」「お店のQRコードを読み取る」「カードをかざす」など手順が異なります。利用する決済方法の手順を紙に書いて渡したり、お店の人に協力をお願いしたりするのも良いかもしれません。
- 残高不足: 支払おうとしたときに残高が足りないという状況は戸惑いの原因になります。残高確認の方法を教えたり、オートチャージ機能(設定する場合は仕組みをよく理解した上で)の検討も考えられます。
- 詐欺への不安: 「〇〇ペイからのお知らせ」といった偽のメッセージやメールに注意が必要です。公式サイト以外から送られてくる不審な連絡は無視すること、個人情報やパスワードを絶対に入力しないことを繰り返し伝えましょう。
困った時に頼れる地域の支援
ご家族だけでのサポートに限界を感じたり、より専門的なアドバイスが必要になったりすることもあるでしょう。そんな時は、地域の様々な支援を活用できます。
- 自治体のIT講習会: 多くの自治体では、高齢者向けにスマートフォンの使い方やインターネットの安全な利用方法に関する講習会を開催しています。中にはキャッシュレス決済に特化した講座がある場合もあります。広報誌や自治体のウェブサイトで情報を確認してみてください。
- 地域のITボランティア団体: 高齢者向けのIT支援を行っている地域のボランティア団体があります。マンツーマンに近い形で、個別の疑問に丁寧に答えてくれるところが少なくありません。「お住まいの地域名 ITボランティア 高齢者」といったキーワードで検索してみる価値があります。
- 携帯電話会社の店舗: 携帯電話会社の店舗でも、契約者向けにスマートフォンの操作説明や、それに付随するアプリの使い方についてサポートを提供している場合があります。利用しているキャリアの店舗に相談してみるのも一つの方法です。
- 公民館や生涯学習センター: これらの施設で、高齢者向けのデジタル講座や相談会が開催されていることがあります。地域住民が気軽に集まれる場なので、親御様も参加しやすいかもしれません。
- 社会福祉協議会や地域包括支援センター: これらの窓口でも、生活上の困りごととしてITに関する相談を受け付けている場合があります。適切な相談先を紹介してくれることもあります。
これらの地域支援を活用することで、親御様が安心して、そして楽しみながらキャッシュレス決済を含むデジタルツールを使えるようになる可能性が高まります。
まとめ
親御様にキャッシュレス決済を教えることは、安全性の配慮や根気強い説明が必要となるため、ご家族にとって負担に感じられることもあるかもしれません。しかし、一つずつ丁寧に、親御様のペースに合わせて進めることで、キャッシュレス決済の便利さやお得さを理解し、活用できるようになるでしょう。
もしお一人で抱え込んでしまっているようであれば、ぜひこの記事でご紹介した地域のIT支援や相談窓口を頼ってみてください。家族の温かいサポートと地域の専門的な支援を組み合わせることで、親御様のデジタルライフはより豊かで安全なものとなるはずです。
私たちが提供する情報が、皆様と親御様のデジタルとの向き合い方の一助となれば幸いです。